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LOST MEMENTO 第一章~第一ドールフローラ~4

と言いながら、モノトーンの綺麗な、

いや可愛らしいクラシカルロリータ服を取り出しました。

 

「!?・・・・・えぇぇぇぇぇぇぇ・・・・」

おまえ、それ・・・どうしたんだよ・・・

 

「買ったんですよ?」

「きっとマスターに似合うと思って。」

 

フローラの目はキラキラと輝いています。

こんなにはしゃいでいる彼女を見るのは初めてです。

 

「いやぁ、そうかぁ・・・似合うかなぁ・・・・」

「じゃなくて、そんな金お前持ってないだろう?」

 

「勿論わたくしはこちらのお金は持ち合わせていないので

マスターの机の引き出しにあった物をお借りしました。」

「何か問題ありまして?」

キョトンとした表情でマスターを覗き込みます。

 

「あぁぁぁぁ・・・もうどこから突っ込んだら良いのか解らなくなってきたよ・・・」

と言いながら額に手をあてガクリと肩を落とします。

「あのなぁ?引き出しに入ってた金はこのアトリエの家賃なんだよ

払えなかったら追い出されるんだぞ?家賃をこんな服に替えちまいやがって・・・」

 

「喜ぶと思ったのに・・・むぅっ」

と、両頬いっぱいにむくれて見せます。

「マスターこの様なお洋服でしたらお好みだと思いましたのに・・・お嫌いでした?」

少し申し訳なさそうな表情、目が涙で若干うるんでいます

 

「いや、うん、好きだよ?ロリータは基本的に大好きだし、センスもいいし、

俺好みだし・・・・ってそうじゃないだろ」

ノリ突込みっていうのはこうやってやるものなのか。

今まで考えたこともなかった

 

「俺が着る服としての好みじゃなくて、女の子がこういう服を着てたら

素敵だなって意味で好きなんだよ」

「わかる?ねぇわかる?この違い!!」

 

「・・・いいえ、サッパリ!」

とフローラは首を横に振りながらきっぱりと答えます。

 

「だろうな・・・」

マスターはガックリと肩を落とします。

「わかった・・・他に方法も思いつかない・・・フローラの作戦で行こう

ただし、男だってばれたらそれこそ怪しまれるからな・・・

フローラ・・・メイク頼むぞ!」

と、恥ずかしさで真っ赤にした顔を片手で覆いながら言います。

 

「わかりました。でも大丈夫ですよ、マスターのお顔立ち中性的でとてもお綺麗ですから

お化粧したら絶対にわかりませんよ」

ニコッと笑いながらフローラが言います。

 

それにしても・・・お前この衣装は確かに俺好みのフリフリのロリロリだが・・・

「ってか、お前なんで俺の好みを知ってんだよ・・・」

と焦るマスター

 

「フフフッ」

と怪しげな笑みを浮かべるフローラ

「わたくしの予想でしたがまさかこんなに正確に当たるとは思いませんでしたわ。」

「それとわたくしを連れて行くのですから、ドールを持って歩いていても怪しくない

服装を考えたらやっぱりロリータファッションかな?と思いまして・・・」

 

「確かにそうだな・・・普通の服装でそれも展示会場でドール持ってたら

色々おかしいもんな・・・」

と、フローラに上手く言いくるめられた事に気づいているのかいないのか・・・

取り敢えず納得したマスター・・・

 

「それではご納得頂けたようですし、明日にそなえて今日は早く眠りにつきましょう?」

とフローラはベットに潜り込みながら言います。

 

「そ、そうだな、起きたら化粧したり色々大変そうだからな・・・

じゃあおやすみフローラ」

と、ベットを見ると既にフローラは眠りについていました・・・

マスターも静かに目を閉じます・・・

 

いよいよ明日、この数日間練ってきた計画が実行です。

女装の話には驚きましたが、これも目的のためには致し方ないこと。

ん?待て・・・目的が果たされればフローラはLOSTMEMENTOに戻るのか

なんだか・・・少し・・・寂し・・・い・・・な・・・

 

・・・ガタン・・・バタバタバタバタ・・・

 

「ん?」

騒がしい音でマスターが目覚めました。

 

「あら?起こしてしまいましたか?おはようございますマスター」

とフローラが微笑みながら振り向きます。

 

「あぁ、おはよう・・・朝から騒がしいな・・・何をやってるんだ?」

 

「あ・・・いえ・・・マスターと共有できる時間は今日で最後ですので

少しばかりのお礼と思いまして・・・」

 

マスターは不思議そうに「お礼って?」と訪ねつつフローラ歩き回っている

方に目を向けます。

すると、食卓に並ぶ美味しそうな料理の数々

 

「え・・・これ、全部フローラが?」

 

「はい・・・ふふっ、わたくし以外に誰もいないのにその質問は愚問では?」

少し茶化すように笑って見せます。

 

「そ、そりゃそうだけど・・・」

マスターは驚きのあまりただただテーブルを見つめています。

 

「マスター、早く席に着いてください、ゆっくり食べる時間が無くなって

しまいますよ・・・」

とフローラが急かします。

 

「あ、あぁ、そうだな・・・フローラ・・・ありがとう」

手作りの料理なんてどのくらい食べていなかっただろうか・・・

マスターは感無量な表情を浮かべながら起き上がり、席につきます。

 

マスターとフローラはちょっと早めの豪華な朝食を食べ終え一息つくと

どちらからともなく立ち上がり、お互いを見つめます。

「じゃあ、行こうか!」

とマスターから切り出します。

「今までありがとうございました。今日でお別れですがマスターの事は

LOST MEMENTOに戻っても絶対に忘れませんわ。」

フローラが涙を浮かべながらマスターに抱きつきます。

 

「僕だって、こんな不思議で怪奇な出来事一生忘れないよ

さあ、時間になってしまう急ごう・・・」

マスターはフローラの肩にそっと手を乗せます。

 

「はい」

俯いたフローラ。

本当にこの数日間頭の中で処理しきれないほどたくさん不思議なことが起きた。

きっと僕の中で一緒の宝物になるだろう。

 

一呼吸置いたころ、満面の笑みでフローラは顔を上げます。

 

「ではマスターお化粧させて頂きますね!」

 

・・・・・・

 

「あ・・・そ・・・そうだったな・・・すっかり忘れてた・・・」

・・・数秒前の僕の感動を返してもらえるかな?

 

 

お化粧してもらい、衣装に着替えたマスターを見てフローラは目をキラキラさせています。

「マスター・・・とても可愛らしいです。」

 

「か、可愛いって・・・一応男なんだけどな・・・」

マスターは恥ずかしくて顔を真っ赤にしています。

今まで客観的に見ていたものを今自分自身が身にまとっているいたたまれない気持ちと

初めて履いたスカートの間隔で頭がおかしくなりそうだ。

なんだこれ!?足元を風が抜けてものすごく落ち着かない!!

 

「さ、では参りましょう」

フローラの一言で我に返ったマスター。

とにかく今は目的を達成することだけを考えよう・・・

そっとフローラを抱き上げるとマスターの腕の中で動かなくなりました。

 

マスターは恐る恐る玄関の扉を開け、辺りを見回します。

まだ時間も早い事もあって、人通りはありません。

「よかった・・・本当に良かった・・・」

マスターはホッとした表情を浮かべ外に出ます。

 

ここから展示会場までは徒歩で1時間ほど

マスターのアトリエは北側の街外れにあるので、街まででも30分以上かかります。

展示会場は街を挟んで反対の南側の街外れにあります。

マスターは街に入り、出来るだけ人に出会わないように大通りを避け

薄暗い裏道を選んで街を抜け、展示会場にたどり着きました。

そこには既に長蛇の入場待ちの列が・・・

マスターは何くわぬ顔で最後尾に並びます。

 

「それにしても・・・暑いですね」

フローラが小さな声で囁きます。

 

「こらっ、ダメだよ喋っちゃ・・・君は人形なんだぞ・・・」

マスターは焦りながら小さな声でフローラに言います。

 

「ごめんなさい・・・」

「あっ!扉が開きますわ。」

 

時間になり会場の正面玄関の大きな扉がギギギギッーと鈍い音を立てながら

ゆっくりと開きました。

いよいよ実行の時です。

 

「さて、行こうか・・・」

 

正面玄関を入った一番大きな部屋に、鏡と一緒に発掘されたらしい

大きな柩に入ったミイラが展示されていた。

普段私たちが目にするミイラではなく、子供が描きそうな

包帯で巻かれた典型的なミイラだ・・・

 

「はぁ・・・本当に包帯に巻かれたミイラって始めて見たよ・・・」

マスターもこの博物館に来るのは久々です。

たくさんの展示品に目が移り、辺りを見回します。

ミイラの周りには一緒に発掘されたらしい埋葬品たちが展示されている。

そして左右にも大きな扉があり、どちらの部屋にも展示がしてあるようだが

この発掘者の単なる自慢的な品々が多いようだ・・・

そして一番奥にある部屋・・・目標の鏡があるであろう部屋は厳重に警備されていた

扉の両脇に真っ暗なスーツに身を包んだ大柄な警備員が2名ずつ

中にもお客さんに混じって十数人の警備員、最新の技術で作られたのだろう・・・

見た事もない小型カメラが5台・・・

 

「うわぁ・・・すげーな」

と呟きながらマスターは奥の部屋に入り真ん中にある大きなケースを覗き込みます。

 

そこにあった物は鏡ではなく、大きな門のような、扉のような物体・・・

触る事が出来ないので見た感じだけだが、石で出来ているように見える・・・

「え?これが・・・本当に鏡なのか?」

とマスターは呟きます。

化けているという事前の情報はあったが、まさかここまで別物とは・・・

「マスター、あまり大きな声では・・・」

と、フローラがマスターを静止します。

 

「あ、ごめん・・・つい・・・」

思わず片手で口を覆います。

 

「大丈夫、間違いなくこれですわ。確認は出来ました、後は作戦通りに・・・」

フローラは自分の予想が当たって満足そうだった。

 

「そうか、わかった・・・」

マスターは怪しまれないようにと、一通りの展示物を見て回り

その後女子化粧室へと向かうのでした。

化粧室に到着すると長蛇の列になっていました。

ここの化粧室の個室は5つしかなく、今回のような普段ではありえない

程の入場者がいると、毎度のごとくこのような長蛇の列が出来てしまうのです。

 

マスターは列の最後尾に並びながら

「うわぁ・・・凄いなぁ・・・男子トイレはあんなに空いてるのに・・・この際男子トイレでもいいんじゃないか?」

とふいに呟きます。

フローラが止めに入る前に、前列の女性が不思議そうな顔で振り返りマスターを見つめ

しまった!と我に返るマスター・・・

 

いい加減自分が今女性になっている事の自覚を持って頂けます?と言わんばかりの

表情でフローラはマスターを睨みつけます。

 

マスターは声に出さずにごめんっと口を動かしました。

 

それから1時間ほど並んでやっと個室に入れたマスターはフローラを

何処に置いていくか辺りを見回します。

個室にそのまま置いていったのでは忘れ物として事務局に届けられてしまう

しかし、何処を見てもフローラを隠せる場所はありません・・・

「マスター、あまり時間をかけすぎると怪しまれます。

まだたくさんの人が並んでいましたわ」

 

「わかってる、わかってるけどどうしたら・・・」

落ち着け、冷静になれ、きっとどこかに突破口があるはず・・・

と天井を見上げたマスターはちょうど今入っている個室の真上に点検口があることに

気がつきました。

「これだ・・・」

 

「マスター時間が・・・」

と焦らせるフローラ。

焦りが恐怖に変わり始めているのかマスターにしがみついています。

「フローラ、ちょっと暗いけど我慢してくれ・・・よっ!!」

 

と、点検口にフローラを放り込みました。

「キャッ」

と一瞬声が出そうになり慌てて口を押さえたままフローラは宙を舞い

暗い天井裏に着地します。

「もうっ!なんて乱暴な・・・でも、助かりましたわ・・・」

 

マスターはフローラが無事な事を確認する為に天井をトントンと叩きます。

フローラはそれに返すようにトントンと叩きます。

無事を確認したマスターは何食わぬ顔で個室を後にし、

そのまま足早にアトリエへと戻ります。

フローラならきっとやってのけてくれるだろう・・・

今はただ、彼女を信じるしかできません。

 

フローラは取り敢えず動き回って物音を立ててしまわぬように

閉館までおとなしくしている事にしました。

 

太陽が沈み欠け、月が顔を出し始めた頃、閉館を迎えた展示場は客出しと

明日の準備や清掃でまだ慌ただしい雰囲気が漂っています。

 

慌ただしさに紛れてフローラが動き出しました。

ゴソゴソ・・・ゴソゴソ・・・

天井裏の様子を探ります。

 

「なんてこと・・・真っ暗で何も見えないじゃないの」

と呟きながらフロアから漏れてくる光を頼りに自分のいる位置を確認します。

「鏡のある部屋は確か・・・あっちの方だけど」

 

 

向かうべき方向を見ても天井まで伸びる壁に阻まれて行けそうにありません。

そう、その部屋はシェルターになっていて、例え火災がおきて建物が

全焼してもその部屋だけは燃えない作りになっているのです。

この部屋だけ防火区画に囲まれ完全に隔離された状態になっています。

 

「何て事なの・・・これじゃ上から侵入出来ないじゃない・・・」

フローラの作戦は鏡の部屋の隣に位置するトイレの天井裏から鏡のある部屋に

侵入して鏡を破壊するつもりだったのです。

「別の方法を考えなきゃ・・・」

「兎に角、天井がダメなら表から侵入するしかないわね、って事は

人がいなくなるまでは動きが取れない・・・もう暫くここに隠れて様子を

みましょう・・・」

表はまだ清掃に人達や警備の人がいてバタバタとしています。

 

・・・・・・・

 

どれだけの時間がたったのか、街灯のない展示場は闇が支配する

闇夜の世界・・・月明かりだけが唯一の光で

会場内を照らしています。

警備員の足音がカツーンカツーンと会場内に響きます。

 

カツーン・・・カツーン・・・カツーン・・・

 

「は!!・・・わたくし・・・眠ってしまったの?

・・・いったいどのくらいの時間?」

フローラは慌てた様子で辺りを見回し、そっと点検口を開き個室に降り

様子を伺います。

警備員はちょうど定時巡回を終え警備室に戻ったところでした。

「チャンスは今しかないわね・・・」

フローラは女子トイレを出て鏡のある部屋の前にたどり着きました。

「やっぱり鍵・・・かかってるわよね?・・・」

と、呟きながらそっと扉に手を掛け力いっぱい押します。

 

カチャッ・・・キキキキキー・・・キィッ

 

すると、扉は音もなくアッサリと開きました・・・

 

「え?・・・あ・・・開いちゃうんだ・・・」

 

「まぁ、そうよね・・・警備員がいるんだから鍵掛けないわよね・・・」

 

フローラはそう呟きながら数十センチ扉を開け中に滑り込むように侵入しました。

部屋に入ると目の前に大きな鏡・・・いや石で出来た門が現れました。

「改めてみると・・・凄い大きさね・・・」

門は3m程もありそうな大きさでフローラの前に立ちはだかります。

「さて・・・これは盗むのは不可能に近いわね・・・って事は壊すしか無い・・・」

「サッサと片付けて戻りましょう。」

と言いながら、天を仰ぐように大きく手を上げます。

すると大きな渦が現れグルグルと周り始めました。

「来て・・・」

と、フローラは囁きます。

すると渦の中からシソーラス・エッジが現れました。

 

フローラはシソーラス・エッジを強く握ると大きく深呼吸をしました。

そして、強い目で鏡を睨みつけると、そのまま鏡に振り下ろします。

 

キーーーン

 

と大きな音が響きシソーラス・エッジが弾かれフローラは体ごと床に叩きつけられます。

 

「きゃあっ!!・・・はぁ・・・はぁ・・・なぜ?」

「この鏡何かが守っているの?」

「このー・・・!!!!」

 

フローラはもう一度鏡に突撃します。

 

キーーーン

 

また乾いた金属音が響き、フローラは床に叩きつけられました。

 

「うぅッ!!」

「何なのよ・・・」

フローラは床に座り込んだままシソーラス・エッジを鏡に向かって投げつけました。

 

キーーーン

 

っとまた大きな音と共にシソーラス・エッジが弾かれ床に突き刺さりました・・・

 

そしてフローラは気づきました。

「ん?バリヤのような物・・・かしら?」

「当たる瞬間何かが見えた・・・」

 

フローラは立ち上がり鏡に近づきそっと手を伸ばし鏡に触ります。

「あら?何もないじゃない?・・・」

 

今度は強く拳を握り大きく振りかぶって拳を鏡に叩きつけます。

 

ゴッ

 

と鈍い音がして、フローラはまた弾かれました・・・

 

「ゴホッ・・・ゴホッ・・・」

 

床に叩きつけられ咳込みながら立ち上がるフローラ。

その足は頼りなくふらふらとしています。

「解ったわ・・・この鏡・・・自分を攻撃しようとするものにだけガードをするのね

・・・きっと殺気に対して発動する魔法がかけられている・・・」

「どうしたらいいの?こんなの・・・こんなのどうやったら壊せるの?」

フローラは膝を抱えて泣き出しそうな表情を浮かべます。

LOSTMEMENTOの秘宝は私を助けてくれるんじゃないの?

何度やってもこんな状態じゃ・・・?

 

「そうか!これならどう?」

と、フローラはシソーラス・エッジを肩にかけ構えます。

そう、シソーラス・エッジの本来の使い方、ベースとして魔曲を演奏し始めます。

 

すると、展示場に飾ってある鉢植えの木々が動きだし、一斉に鏡に巻き付き

ギギギっと鈍い音を立てて締め付けます。

フローラの操るものは植物。

当然殺気を発しない為、鏡の防御魔法が発動しないのです。

「ふふっ・・・これならどうかしら?」

フローラは更に激しく弦を弾きます。

 

ギギギギッ・・・・ギギッ・・・ギギッ・・・

 

「強く・・・もっと強く・・・」

 

ギギギギッ・・・

 

バキッっと鈍い音が聞こえました・・・

 

「そう、いい子ね・・・もっと・・・もっと強くよ・・・」

 

ギギギッ・・・メキメキ・・・・バキッ・・・バキッ・・・

 

パーーーン

 

と何かが弾けるような音がしました。

 

「やったあぁ!」

と叫びながらフローラは鏡を見ます。

 

 

「え?」

「・・・なぜ?」

 

そこには全く無傷のあの鏡がそびえ立ったまま周りに、

粉々に砕けた木々が散っています・・・

 

ガックリと膝から崩れ落ちたフローラ

 

「どうしたらいいのよ・・・壊すことが出来ない・・・

でも、こんな大きな物盗む事も出来ないじゃない・・・」

今までに味わったことのないほどの絶望。

不安と絶望に心を覆われ、堪えていた涙が次々と溢れてきます。

 

「ひっく・・・えぐっ・・・んん・・・?」

 

すると何処か遠くの方から何かが近づいて来る音が耳に入ります。

 

 

・・・バタバタバタ・・・

 

 

バタバタバタバタバタバタ

 

 

「なに・・・これ・・・何の音?」

 

 

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