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運命の死骸

Lyric 恣意セシル

静かすぎて耳が痛い
陽の射しこまない部屋

体中に絡まる冷たい光
咲いた徒花だけが色を変えるから
甘い香りに吐き気

不意に酸素が薄くなる
細く開かれた扉の隙間
投げ込まれる運命の死骸

強くこめられた悪意と呪いが
この部屋を満たしていく

伸ばされた手はやたら熱くて
少女の尊厳を皮膚ごと融かしてしまう
あてがわれた凶器は割れた鏡
怯えた顔が映った

流れる血の代わりに星さえ光らない夜が溢れ

真夜中に少女は保存されてしまった
乱れ咲いた無数の徒花
床に散らばる鏡の向こう 私は顔を覆い立ち尽くす

運命の死臭にむせる
際限のない悪意に私は勝てない
徒花は種もつけず ただ枯れ腐り
次の悪意を育む

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