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LOST MEMENTO 第四章~再開~2

「だ~か~ら~フローラ・・・」

と言いかけたその時でした

 

フローラがマスターにしがみつき

「マスター、マスター・・・助けて・・・LOST MEMENTOが・・・

LOST MEMENTOが大変な事に・・・」

と押し殺していた物が爆発したように大声で泣き出しました。

 

「本当にフローラなのか?どうやってこちらに・・・

いったい何があったんだ?」

とフローラを宥めながら聞き返した。

 

「ジョーカーが・・・4国に・・・同時に・・・テロを・・・

仕掛けて・・・来て・・・マクレーンのお母様が・・・巻き込まれて・・・」

嗚咽混じりで答えるフローラ

「もう、国は・・・めちゃくちゃで・・・」

 

「そうか・・・わかった・・・とりあえず城の中に

その姿では長くはもたないだろう?

お前の体は大切に私の部屋に保管してあるから、早く魂を移した

方がいい・・・」

「シェリル、ありがとう、事情は後で話すから今は何も聞かないでくれ・・・」

と言うとフローラを抱きかかえ城に向かって走り去ってしまった。

 

「はぁ・・・相変わらず訳が解らないというか・・・

騒がしいと言うか・・・まぁ王様の事だから心配ないとは思うけど」

と、頭を掻きながら呟き

城下へ戻って行った。

 

マスターは自室に戻るとソファーにそっとフローラを寝かせ、「少しだけ待っていてくれ」

と言うと、隣の部屋に消えて行きました。

 

少しすると、マスターはフローラのドールを抱えて戻って来ました。

 

ドールを横たわるフローラの隣に置き、「こんな事もあろうかと、取っておいて良かった」

と言うと、ドールの首に首飾りを掛け、「さぁフローラ・・・」と

ドールとフローラの手を繋がせました。

するとフローラとドールは真っ白な光に包まれ、二つの身体が重なり一つになって行きました。

 

フローラの魂がドールの中に入ったのです。

LOST MEMENTOの民は魂が無くなると身体はその形状を保てなくなり

消えてしまいます。

その為身体が融合したように見えますが、ドールに移ったのはフローラの魂だけ

首飾りは、ドールの身体に魂を定着させ、生命力を分け与える為の発信機と受信機

のような役割を果たしています。

 

ハッと目を覚ましたフローラは辺りを見回します。

「・・・ここは・・・」

 

「やぁ・・・フローラ、気がついたかい」

と、懐かしい声が聞こえます。

 

振り返るとそこには、マスターの姿が・・・

 

フローラは思わずマスターの胸に飛込み泣きじゃくります。

「マスター、マスター、大変なんです。。。LOST MEMENTOが・・・国が・・・」

 

「おいおいフローラ、落ち着けって・・・」

「さっきも聞いたよ・・・」

 

「メルティーは一緒じゃ無かったのかい?」

 

「は、はい・・・メルティーは自国のハートの国も大変な事になっていて

国に戻りました。私は父のに頼まれ、この事態を収拾するにはマスターの

力が必要だと・・・このままでは全ての国が滅んでしまうと・・・」

 

「なるほど、それで君が命を掛けてここまで来たと言うことか・・・

それにしても、私はただの人間だぞ・・・国を救うとか・・・

君たちは私を怪物位に思っているのかい?」

と笑いながら問いかけるマスター

 

「怪物・・・とは思っていませんが・・・力のある方だと・・・」

フローラはLOST MEMENTOに行く事を断られてしまうのではないか?

と、恐る恐る答えます。

 

「まぁ、そんな事はどうでもいいか・・・

さて、じゃあ行こうか・・・」

 

「へ?マスター?」

フローラはあまりにも軽いマスターの行動に驚きを隠せません。

 

「大丈夫だよ、この国の事は私の側近のウェルクスにお願いしたから。」

 

「マスター行動が早すぎます・・・」

フローラは若干パニックになりながら言います。

 

「そんな事はないよ、君が目を覚まさなかった3日間で準備したんだから・・・」

 

「え?3日?私そんなに眠っていたのですか?」

と驚くフローラ

 

「ん?あぁ、あまりにも起きないから死んだかと思ったよ。」

と笑うマスター

 

「君が眠っている間に、メルティーのドールと、あと2体、まだ作りかけだが

準備しておいた。それ以外は・・・まぁ、何とかなるだろう・・・」

と話ていると

 

「お待ちください」

と部屋の外から声が聞こえたのです。

 

部屋の扉が開くとそこには執事長のレクシードが立っていました。

 

「どうしたんだい?レクシード・・・」

と驚き顔のマスター

 

「私はネロ様の執事でございます。ネロ様が行くところには私もお供いたします。」

と準備万端のレクシードが言います。

 

呆気に取られるフローラにマスターは

「彼は私の執事なんだけど、元々は貧乏なギター弾きで、たまたま道端で彼の演奏を聞いて、私は彼の音に惚れ込んでこの国に連れてきたんだ

最初は城下に住んでいたのだが、どうしても私の傍にいたいと言って聞かないので

執事にしたんだよ。」

と説明します。

 

「そ、そうなんですの・・・」

と、どう答えて良いのか解らないままのフローラ

 

「まぁ、君の事だからダメだと言っても付いてくる気だろうからな・・・

LOST MEMENTOでも私を助けてくれ。」

とレクシードの肩をポンと叩くマスター

 

「御意に・・・」

と胸に手を置き深々としゃがみこみ頭を下げるレクシード

 

「さて、事態は一刻を争う、早速だがLOST MEMEMNTOに向かおう」

とフローラ言います。

 

「わかりました。マスター鏡はどちらに?」

 

「あ、そうか・・・こっちだ」

とマスターは城の地下に二人を連れて案内します。

 

「ネロ様・・・わたくしこの城に地下があるなんて存じ上げておりませんでした。」

と不思議そうに言うレクシード

 

「そりゃそうだろう・・・ここの存在は私しか知らないんだ

鏡の存在が世間に見つかってしまうとこの国自体が危なくなるからね・・・」

と言いながら、地下の奥へ奥へと進んで行きます。

 

どれだけ進んだのか、真っ暗闇の中に小さな鉄の扉が見えて来ました。

 

「さぁこっちだ・・・」

ガチャリ・・・マスターは鉄の重そうな扉を開きます。

 

「マスター・・・鍵とか無いのですか・・・?」

と不思議そうなフローラ・・・

 

「え?鍵かい?・・・無い!」

 

ポカーンとするフローラに

「ここの存在自体私しか知らないんだ、オマケにもしもこの鏡の存在が見つかって

しまって、盗み出そうとするものが居るとしたら、鍵なんて何の意味もないでしょ?

爆薬でも持ってこられたら城ごと吹き飛ばされてしまう・・・」

とさも当たり前かのように言うマスターにフローラは

「そ、そう・・・ですわね・・・・う・・・うん・・・た、確かに・・・」

と目が点のフローラ

 

「こう言うお方なのですよ・・・ネロ様は・・・私たちの想像を遥かに

超えていらっしゃる・・・」

と笑いながら言うレクシード

 

「さて、鏡はこの中だ」、と狭い入口をくぐるマスター

後に続くフローラとレクシードは中に入ると、入口の狭さからは想像も出来ない

広い空間に驚きます。

 

鏡は部屋の真ん中にそびえ立っていました。

 

「さぁ、行こう・・・」

鏡に飛び込もうとするマスターに

「待って!」

と静止するフローラ

「どうしたんだい?フローラ?」

マスターは訪ねます。

「このまま鏡に飛び込むと、ジョーカー国の鏡に繋がってしまっているはず

サーベストに空間を歪めて私の国に繋いで貰わなくては危険すぎます。」

と答え

「サーベスト・・・サーベスト・・・聞こえまして?」

と念じるフローラ

「はい、聞こえております」

と頭の中に声が聞こえます。

「マスターに出会えたわ、こちらの鏡と繋いで・・・」

 

「わかりました・・・少々お待ちください・・・・

さ、繋がりました・・・どうぞお入りください。」

と答えるサーベスト

 

「ありがとう」

 

「さぁ、マスター、鏡と私の城が繋がりました。行きましょう。」

とマスターと手を繋ぎました。

 

「よし、行こう」

 

3人は鏡に吸い込まれて行きました。

 

 

 

LOST MEMENTO 第四章~再会~  完  

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