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LOST MEMENTO 第四章~再開~1

フローラはマスターを迎えに行く為、再び鏡を通る為に魔法使いサーベストの

元へ急ぎます。

フローラは階段を駆け下りサーベストの部屋の前にたどり着きました。

呼吸を整えドアをノックします。

 

「フローラ様ですな・・・どうぞ・・・お待ちしておりました。」

とドアが開きます。

何もかも解っているかのような表情のサーベスト・・・

部屋に入った瞬間フローラの目に飛び込んで来たものは

床に書かれた魔法陣でした。

「サーベスト・・・これは・・・」

驚き問いかけるフローラ

「マスターの元へ行かれるのでしょう?

準備は整っております・・・さあ、フローラ様魔法陣の中心へ・・・」

とフローラを導きます。

 

「サーベスト・・・さすがですね。全てお見通しなのですね。

じゃあお願い・・・」

とフローラは魔法陣の中心に向かいます。

 

「それにしても本来こちらの世界の鏡とあちらの世界の鏡が繋がる

はずなのにどうやってこの魔法陣から鏡に繋いでいるのかしら?」

魔法陣の中心に立ちながらフローラが訪ねます。

 

「はい、魔法使いのわたくしが言うのもおかしな話ですが

別の世界の鏡が繋がるという事は、時空に何かしらの歪みが出来ていると

言うことです。

それさえ解かれば、後は時空魔法でその歪みを見つけ出し

そこに魔法で作った別の歪みを割り込ませれば良い訳です。

 

しかし時空魔法は超高等魔法です。

わたくし以外に使える者がいるのかは解りません・・・」

 

「確かに・・・魔法なのに科学的な話しですね・・・

あなた以外に使える者がいないとなると・・・」

とフローラは顎に手をあて考え込みます。

「フローラ様、私の知る限りではと言うお話ですので

もしかしたら、わたくしよりももっと凄い魔法使いは存在しているかも

しれませんぞ・・・」

とサーベストは笑いながら言います。

 

「さあフローラ様お急ぎになりませぬと・・・・」

 

「そ、そうでしたわね・・・ではサーベスト・・・お願い」

と言うとフローラは魔法陣の中心に立ち、目をつむります。

 

「では、いきますぞ・・・」

と言うとサーベストは掌を天高くかざしました。

すると掌に細かい光が集まり、サーベストの体が青白い光を放ち始めます。

すかさずサーベストは持っていた杖で魔法陣の端をカツンっと一突きしました。

すると、体を包んでいた光が杖を通じて魔法陣に流れ込み

魔法陣が光り輝きながら回転し始めます。

回転がどんどん早くなっていくにつれて体が軽くなって魔法陣に吸い込まれていく

のを感じました。

 

頭の中で「あぁぁぁーっ」と囁いた瞬間

体が何かに吸い込まれるような感覚になり、その後で痛みもなく

体が粉々になったような不思議な感覚にとらわれます。

 

気が付くとフローラはピンクのモヤの中に立っていました。

「ここは?どこ?」

辺りを見回しながらフローラは言います。

すると頭の中に声が聞こえてきます。

「マスターの事を強く思ってください、今あなた様がいるのは歪められた時空の

狭間なのです。あなた様が強く思った場所に道が繋がります。」

 

「サーベスト?サーベストなの?どこ?何処にいるの?」

フローラは辺りを見回しながら叫びます。

 

「フローラ様わたくしは近くにはいません。テレパシーであなた様の脳に直接

話しかけているのです。さあマスターの事を強く思って下さい。

必ず道は繋がりますぞ。」

「わかりました」

とフローラはマスターの顔を思い出し

「お願いマスターのもとへ連れて行って・・・お願い・・・お願い・・・」

と、強く強く念じました。

 

すると・・・・

 

辺りのモヤが少しずつ動き出し、突然強い光を発したかと思うと一点に

集まっていきます。

光の集まっていく方を見ると、光の中に何かが見えて来ました。

 

フローラは目を凝らして光の集まっていく方向を見つめます。

すると、そこには見覚えのある砂浜が見えて来ました。

 

そうです、マスターとヘリで降り立った南の孤島の砂浜です。

フローラは目に涙を浮かべ、光の方へ走り出しました。

そして光の中に飛び込みます。

 

 

・・・・砂浜に飛び出したフローラは島の様子がおかしな事に気がつきます。

 

「確かここは誰もいない孤島だったはず・・・」

と呟き辺りを見回します。

 

そうです。

フローラが去った頃の島は誰もいない孤島だったのですが・・・

砂浜から振り返るとそこには大きなお城がそびえ立ち、城下には

綺麗なヴェネチアを思わせるような街並みがありました・・・・

 

フローラは呆気にとられ暫く立ち止まったまま町並みを眺めていました・・・

 

するとチェロを背負った髪の長い青い瞳の女性が話しかけて来ました。

「あれ?見ない顔だね・・・お嬢さんどこから来たんだい?」

 

フローラは我に返り辺りをキョロキョロと見回し

「え、あ、はい・・・わたくしは・・・鏡の・・・LOST・・・

あ、いえ、マスターを探して・・・えっとマスターとは

ネロ様の事で・・・」

と、突然の出来事にしどろもどろになっていると

 

「ネロ?マスター?・・・」

 

「あ!王様の事かい?」

と、尋ねる女性に

 

「お、王様?いえ・・・わたくしは・・・マスターを・・・」

と、頭の整理がつかず何を話していいのか解らなくなっていると

 

「もう、なにを金魚みたいに口をパクパクさせてるのさ!

ほら、こっちだよ」

と突然フローラの手を引く女性

 

「私はチェロ弾きのシェリルって言うんだ、あんたは?」

と、手を引きながら尋ねる女性に

フローラは圧倒されながら

「わ、わたくしは・・・フ、フローラと申します。」

と答えます。

 

「え?あんた・・・まさか・・・えっと・・・なんてったっけ?

ロス・・・ロブ・・・何とかって所から来て王様と大冒険したって

ドールと同じ名前なんだね・・・」

 

フローラは思わず

「鏡の国LOST MEMENTOのフローラです。

ダイヤの国の姫のフローラです。」

と大声で自己紹介します。

 

「え?じゃああんた本物のフローラさん?あの伝説のフローラさん?」

と驚き訪ねます。

 

「伝説って何の事かよく解りませんが、LOST MEMENTOが大変なことに

なっているのです。マスターの助けが必要なのです。

早く、早くマスターに会わなくては・・・わたくしも

この体のままではそう長くは活動出来ないのです。

早く、急がなくてはいけないのです。」

 

・・・・突然の事に呆気にとられるシェリルでしたが

すぐに我に返り、再びフローラの手をとり走りだしました。

「もう何がなんだかよくわかんないけどさ、あんたが急いで

王様に会わなきゃいけない事は良くわかったよ・・・兎に角急ごう」

と一直線に城に向かいます。

 

城に向かう道のりはゴツゴツとした石畳になっていて

メインストリートなのでしょう、お城まで一直線に伸びているように見えます。

浜辺近くは民家のような建物がポツポツと立ち並んでいましたが

お城に近づくとお店のような建物が増えてきました。

フローラが気になっていたのは街の人のほとんどが楽器を持っていたり

画材を持っていたりする事でした。

 

「ねえシェリルさん

なぜ街のほとんどの人が楽器や画材を持っているの?」

と尋ねると

「詳しい事は王様・・・あなたにとってはマスターだったわね・・・

そのマスターさんに聞いて。

あまりしゃべると舌を噛むわよ。」

と言うと更に走る勢いがあがりました。

 

「え?・・・ちょ・・・早い・・・早すぎますわーーーー」

シェリルに手を引かれながら物凄い勢いでお城に向かって城下町を

駆け抜けていくフローラ

 

「さあ、着いたわよ」

と息一つ切らさずに言うシェリルに

「ちょ・・・はぁはぁ・・・何なんですの?・・・はぁはぁ・・・」

と息切れ切れに答えるフローラ

「あぁごめんごめん、私走るのだけは得意なんだ」

と笑いながら答えるシェリル

「で、ほらお城に着いたわよ・・・マスターさんに会いに行かなくて良いの?」

と息が整わないままのフローラに言います。

 

「行きます・・・行きますけど・・・足が・・・限界」

とその場に座り込んでしまうフローラ

「もう、仕方ないわねぇ、じゃあマスターさんに迎えに来てもらいましょう」

と言って門番を呼びつけるシェリル

「え?王様を呼びつけちゃうんですの?」

と驚くフローラ

 

「そうそう、この国の王様は本当に庶民的と言うか・・・

とぼけてると言うか・・・全然偉そうにしないんだよ・・・

この国を作ったすごい人なのにさ、常に私たちと同じ目線でいてくれるんだ

だからみんな尊敬の念を込めて王様って呼んでるんだけど

それ以外は友達みたいなもんなんだよ」

と笑いながら話すシェリル

 

もう何が何だか解らないままポカーンとしてしまうフローラ・・・

 

「ほらほら、来たよ、あなたのマスター様が・・・」

「王様―、お久しぶりでーす。」

と手を振るシェリル

 

「おー!シェリル久しぶりじゃないか・・・何かあったのかい?」

と遠くから叫びながら走って来るマスターの姿に

フローラは口を抑え泣き出してしまいます。

 

門までやってきたマスターは

「突然どうしたんだ?シェリルがお城に来るなんて何かあったのかい?」

「・・・あれ?となりの方は?」

と尋ねた。

 

「フローラさんって言うらしいよ・・・王様を探して浜辺をうろついて

いるところに私が出くわしてさ、連れて来たんだよ。」

 

「・・・え?」

と聞き返すマスター

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